ガチで運動神経無い奴にしか分からないこと

そもそも『運動神経』などという神経はどこにもない(筋肉に指令を伝える神経の総称)わけだが、たしかに運動が得意な人とそうでない人がいる。

その違いは一体何処で生まれるのだろうか?



恐らくこれが最も『運動神経』の定義するイメージに近い事柄だと思うが、人間の体の場合、大きな運動を担当しているのは脳の大脳基底核という部分で、細かい部分は小脳が担当している。

例えば顔がかゆいとして、顔の近くまで腕を持ってくるのは大脳基底核の仕事、指で顔を書くのは小脳の仕事という事だ。

つまり運動神経の良い悪いは脳の作用によるところが大きく、運動神経の良い人は大脳基底核・小脳の働きが優れていると言い換えていいわけである。

また脳からの指令が筋肉に上手く伝わるには、伝達する神経が太ければ太いほど俊敏に筋肉に指令を伝える事が出来る。

これにも個人差があるので、運動が得意な人は神経が太いと言っていいわけだ。

ちなみにこの神経、年齢を重ねるごとに誰でも細くなっていくので歳を取ると誰もが思い通りに体が上手く動かなくなるのは当然の事なのだ。

ここまで書くと「じゃぁ運動苦手な人どうしようもないじゃ~ん!」と嘆くかもしれないが、なーに、電気信号の伝達速度の誤差なんてコンマ1秒以下である。

世界トップクラスのアスリートともなれば重大な問題かもしれないが、普通に生活を送る分には同世代間では目に見える誤差など殆どない。

そんな事よりも運動能力において大部分のファクターを占めるのは、筋肉量と質、関節の稼働域の広さ(つまり体の柔らかさ)、そして何よりも慣れだというので、やはり一番大切なのは日頃のトレーニングという事である。

仮に世界最高の『運動神経』とやらを持つ男でも、初めてバットを握ってプロ野球選手の放る球をスタンドインする事は絶対に出来ないのだ。


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