TVの料理番組などで料理の味をレビュー・審査する、いわゆる『食通』と呼ばれている人達は大抵がお年を召した中年・初老の人間が殆どである。





それは当然、食べ物の味はレストランや料亭で食事をするようになって、色々な物を口に運んでからこそ分かるからだ。

そのためには充分な収入が必要なわけで、金銭的に充実した中年くらいにならないと『食通』にはなれないわけである。

しかしその実、歳をとればとるほど味覚は減衰しているという事実がある。

食べ物の味は舌で感じるわけだが、そのメカニズムとして舌の上にはザラザラした無数の突起があり、その中に味官球と呼ばれる味を感知するアンテナが約200~300個存在するわけだが、この数字は若い時の話。

老年期に入るとその数は半減してしまうのである。

若い時は貧乏でロクな物を食べられなかった人が大成して高級料理が食べられるようになる。

「美味い美味い!」と涙を流しながら舌鼓みをうっても時すでに遅し、その料理の本当の味は分からないわけである。

本当の食通というものは親が金持ちで、小さい頃から毎日のように高級料理を食べ続けている子供のことを言うのかもしれない、なんとも皮肉な話だ。



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