ついにアマプラでも配信が始まったガンダムSEED FREEDOM。さすがにネタバレもクソもないって時期になったと思うので、特に大どんでん返しがあったような作品でもないですが、ネタバレ等には気にせず感想を述べていきたいと思います。気になるという人は回れ右して映画館行くかアマプラ見てきてください。
-----総評-----
良かったと思います。前半と後半でちょっとノリが違うような気がしますが、迫力もあったし人間ドラマも細かに描かれてて、見どころあったと思います。ただ尺の問題もあるのか、無印や運命を見てない新規の方は、既存キャラの性格や関係性が理解しづらく、そこらへんが十二分に楽しめないのかなと感じました。あとはメカをグリグリ動かすのが大変なのはわかりますが、MS戦闘よりも、艦隊戦が目立ったように感じます。実際の戦争に近いと言えばそうですが、せっかくのガンダム作品なのですから、もう少しMSの活躍を多く見たいとも感じました。
でもさすが劇場版というだけあるのか、作画も全体的に良かったし、SEEDシリーズの集大成と呼ぶにふさわしい出来だったと思います。無印や運命もアマプラで配信されているので、それらを見てから劇場版に臨むと、一段と人間ドラマが理解できて楽しめると思います。っつーかもう20年弱経ってるとかマジか……
-----キャラ-----
・キラ
運命の頃のような少し大人びて達観したようなキラの姿は消え、初期の頃のような自分の行動に悩み迷う少年のようなキラがカムバックした。これがキラというキャラクターの本質なのかもしれない。まぁガンダムシリーズの主人公というのはシーブック他ジュドーのような少年を除き、どこか頭がオカシイと相場が決まっているので、他の作品ならともかく、ガンダム作品の主人公ならこんな感じなんですかね(笑)
・アスラン
この作品の面白かったシーンの9割はコイツ。本人は真剣なんだろうが、それだけにシリアスな笑いを誘う。劇中での活躍として、生身では破壊諜報活動を行い、MS操縦ではズゴックでブラックナイツと渡り合い、ストフリに搭乗しキラの操縦を模倣し、ジャスティスでシュラを粉砕するという、八面六臂の活躍を見せた今作ヤバイ奴その1。そもそもがエリート中のエリートだったはずなので当たり前なのかもしれないが、行動が突飛すぎてみんなにその有能さを忘れられているちょっとかわいそうな人。破廉恥な妄想して何わろてんねん。
・シン
今作では運命の頃と比較すると、まるで憑き物が落ちたかのように快活な少年として描かれており、そういう意味では前作からの2年間(劇中経過)の間で一番成長したのはこのキャラなのかもしれない。ジャスティスが当て馬にされたが、劇中終盤ではデスティニーspec2に搭乗し、ブラックナイツ四機をほぼ1人で殲滅するという離れ業をやってのけた。ガンダム作品ではなく一般的な作品だったら、一番主人公らしい雰囲気を醸し出せてるぐらいには成長してくれてオジサン嬉しいよ。
・ラクス
この作品(シリーズ含む)一番の問題児がコイツ。まずなんでこのキャラにここまでの地位と権力が集中することになるのかがさっぱり分からない。似たようなキャラでWのリリーナを思い出すが、アレとは根本的に何かが違う。何が違うんだと考えた時に、このキャラは迷ってないんですね、悩んでないんです。キラのことで悩むことはあっても、自分の選択や行動、発言には確固たる自信を持っています。それはベッドに押し倒されたシーンやラストシーンなどでよくわかります。そう考えた時に、物語終盤でのオルフェの発言というのは、実は的を得ているんじゃないかと思うわけです。一言でこのキャラの属性を表すなら「傲慢」です。人の意見とか絶対聞かないタイプですよこの女。
私はやっぱり愛の反対って「憎しみ」だと思うんですよ。「憎しみの連鎖」というのがSEEDシリーズの根底のテーマとしてあるわけです(戦争物は大半がそうですが)
その連鎖を断ち切るためにもっと世界に愛を溢れさせようよ、となるべきだとおもうんですが、この女の言ってることは全部奇麗事なんです。法律家やってると身に染みるんですけど、愛以外から生まれる命もあるし、必要とされない人間だってたくさんいるんですよね。別に奇麗事いうだけの夢想家ならそういうキャラなんだな、で済むんですが前述の通りなぜかこのキャラに力が集中し、なおかつ行動力もあるわけです。奇麗事言う奴が行動力あるとどうなるか、これもうテロリストなんですよ。それは現実世界が証明してるし、もちろん作中でもやってることはテロリストのそれです。こういう人間が新しい宗教とか興したらスゲーことになりそうだなと思いながら見てました。
アコードバレもしたことですし、愛の象徴であると同時に憎しみの象徴にもなったラクス。キラもそうですが普通に考えたらもう二度と表舞台に出てくることはないのでしょう。関係ないけどなんなんだよあの白タイツは。
・アグネス
色物キャラは桑島法子にやらせておけの精神
・ムウ
このお方がいなかったらいろいろと危ないシーンがあった。ファフナーでいうところのミゾグチ。
・マリュー
敵軍はこの人が乗ってる艦ってだけで相当怖いはず。もうそういうレベルまでキてる
・ハインライン
今作ヤバイ奴その2。このキャラがいなかったら普通に負けてたレベル。こんな面白キャラなんで今まで出さなかったんだよ!
・ノイマン
戦艦ですよねこれ……?
・メイリン
今作ヤバイ奴その3。ラスボス以外アスランとハインラインとメイリンの3人でどうにかなった説ありますねぇ。
・イザーク・ディアッカ
こいつらが出てくると安心する。機体もよかったねぇ。ただ演技なのかどうかわからないが、関さんはちょっと声が老けたかなと感じた。
・オルフェ
最初は「コイツがラスボスなんだろうなー」ぐらいのテンションだったが、物語が進むにつれて魅力を増してきたキャラ。この作品のテーマはまず間違いなく「愛情」であり、それが一番よく分かるのはキラとラクスの関係性であろう。ただ物語が進むにつれてこのキャラの愛に対する渇望、そこから生ずる憎しみというのもキラとラクスの関係性のアンチテーゼとして、この作品のテーマを象徴することに一役買っていると感じることができる。20歳という年齢の割には幼すぎる思考も、このキャラがどういった環境で育ったのか、なぜこれだけ愛というものに執着するのか、作中では詳しく描写されなかったが、推察は極めて容易である。役者の演技もよかったし、個人的には結構気に入ってるキャラ。造られた存在であるのに、一番人間臭いこと言っているという対比も、また皮肉が利いていてよかった。
このキャラのおかげでこの作品のテーマは愛情ではなく「愛憎」ではないのか、とも思ったが「愛の反対は憎しみではなく無関心です」とかなんとかワケわかんないこと言いだしたピンク髪のせいで台無しになったわ。
・ブラックナイツ
出てきた瞬間に「こいつら噛ませ犬なんだな」と一目で分かっちゃったキャラ達。こういうキャラ達って憎めないんだよね。時間が経てば経つほどかわいく思える。
・アウラ
なんでロリババアにした?って感じ。外見は普通にマッドサイエンティストヒステリックおばさんとかの方がオルフェの行動原理との対比に使えそう(母親的な意味で)な気もしたんだが、劇場版だしそこまで敵キャラに深掘りする時間もないのか
-----機体-----
・マイフリ
虐殺だのなんだのとオルフェたちを責め立てていた割にはこれ乗ってキラ(&ラクス)がやらかしてたことも相当なものである。ディスラプター(オデコビーム)は使用にラクスの承認がいるらしいが、そんなもんキラ以外承認しないし、キラが申請したら承認すんだろうから意味ねーじゃんと思ってしまうぐらいにはラクスのことを嫌ってる俺。そもそもなんでそんな権限ラクスが持つんだよと。電磁パルス(?)攻撃もやってることはあなた拡散レクイエムですよね……?
いずれにせよ、月光蝶は別枠として、Gセルフのフォトントルピードとと1位2位を争うような激ヤバ武装を持った機体が誕生してしまった。しかも複座機、こんなのがスパロボに出てきたらもう地獄である。
・ジャスティス
アスラン(およびカガリ)のせいでなぜか機体含め面白く見えてしまう
・デスティニー
スパロボが本職と揶揄されてきた(ゲームではなぜかいつも強い)デスティニーがようやくアニメーションで活躍するところを見られてオジサン嬉しいよ!
・アカツキ
こいつレクイエムの前にボッ立ちさせておけばいいんじゃね?
・デュエル・バスター
この二機がミーティア持ってくるとかもう泣くでしょ
・アークエンジェル
この艦が落ちるところを目にするのは中々に感慨深いものがあった
・ミレニアム
いろいろとおかしかった(小波感)
・ブラックナイト
ラスボスがガンダムじゃなかったのは高評価。ただいつも思うんだけど、ファンネル系はさすがにもういいですって感じ(苦笑)
-----その後の考察-----
小説によるとその後キラとラクスは行方不明となっているらしいが、まぁオーブの地下にでもいるかハネムーンにでも行ってるのであろう。いずれにせよ愛の象徴でもあり憎しみの象徴ともなってしまった二人が表舞台で活躍することはもうないのであろう。
ブラックナイト集団のFT装甲や、ストフリ・インジャ・デスティニーがたった2年で「時代遅れ」と言われてしまう技術革新の速度から鑑みても、この劇中では絶え間なく争いが行われており、憎しみの連鎖が断ち切られる、または停滞する様相は今のところ全くみえない。核やレクイエムをはじめとする大量破壊兵器の使用もある。故に残念なことだがこのC.E.世界の行く末は「滅び」一拓としか現状考えられない。
今回の映画で興行収入がよかったら、またどこかでキラえもんが助けに来てくれるんじゃないかな、って感じですね(笑)